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増える日本在住の外国人 自治体・NPOの支援に限界

2023年8月13日 5:00 [会員限定記事]

日本に住む外国人が再び増えてきました。日本人の人口が急速に減るなか、政府は永住できる外国人を増やす方針で、様々な社会的な役割を担う欠かせない存在となっています。ただ、受け入れ拡大につれ、生活を支援してきた自治体やNPOからは、対策の充実を求める声も聞かれます。

総務省が1月時点でまとめた住民基本台帳に基づく人口によると、外国籍の住民は299万人で3年ぶりに増加に転じました。新型コロナウイルスの影響が和らいだこともあり、昨年1年間に29万人近く、約1割増えています。

総人口に占める外国人の比率は2.39%です。市区町村別(政令市は行政区単位)にみると、北海道占冠村と大阪市生野区が2割を上回ったほか、12市区町村で1割を超えました。比率が高い地域は政令指定都市やリゾート施設のある町村が目立ちます。東京23区では新宿区と豊島区が1割を超え、13区で5%以上となっています。

一方、外国人の住民登録がないのは、青森県西目屋村、東京都青ケ島村、和歌山県北山村の3村だけになりました。外国人の住む地域は全国津々浦々に広がっています。

しかし、外国人とともに暮らす多文化共生の取り組みは自治体によってまちまちです。例えば、外国人の子どもが学校に通っているか、確認している自治体は少ないといいます。

多文化共生の先進的な取り組みで知られる浜松市は、住民台帳と学校の名簿を突きあわせるなど、就学していない子どもをゼロにするようにしています。

最近は助産師や学童保育などでも外国人への対応が求められているようです。外国人対応は義務ではありませんが、対応してくれるところが少ないと「日本は外国人が暮らしにくい」という印象を持たれます。

外国人政策に詳しい日本国際交流センターの毛受敏浩・執行理事は「外国人の受け入れは、日本に定着し活躍し続けてもらうフェーズに入りました。社会も政治も企業も考え方を180度、変える必要があります。新しい時代認識を持たないとよい人材は入って来ません」と指摘します。

とりわけ大切なのが日本語教育です。日本では国による支援は少なく、NPOなどを中心にボランティアで担っているところが目立ちます。政令指定都市の市長会は3日、日本語教育の充実を求めて文部科学省などに国による体制強化を要請しました。

政府は全国的な人手不足に対応するため、特定技能の在留資格で受け入れる外国人を増やすことを決めました。企業や地方は外国人に大きな期待を寄せていますが、円安傾向もあり、各国との人材獲得競争は厳しくなっています。

日本を選んでもらえるよう、外国人との共生に本格的に取り組む時期を迎えています。

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