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外国人雇用のチョイス

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アルバイトか正規雇用か?

雇用、就労の世界では、「正社員」「正規雇用・非正規雇用」などのことばが、明確な定義もないまま使われることが多いです。また、今の日本は、労働市場、労働慣行が大きく変わる節目にあるので、経営者の方々も、就職を目指す人々も注意が必要です。ここでは日本人も含めて全体を整理したうえで、外国人の雇用について注意点をお話したいと思います。

雇用形態を基準に、正規・非正規を分けると、無期雇用と有期雇用の違いになります。さらに有期雇用は、派遣労働者、パートやアルバイト、それ以外の契約社員ということになります。この表にあるように、解雇の難しさでは、無期雇用の正社員と同じかそれ以上ですし、健保、年金保険の加入義務は、雇用形態とは関係なく、基本的に労働時間の長さによって生じます。

特に、賃金水準については、令和3年4月以降、中小企業にも同一労働同一賃金の原則を定めた法律が適用されます。これは、同じ内容の仕事をしていれば、賃金、手当、研修や福利厚生など、すべての待遇で、有期雇用労働者であることを理由に、正社員と差別的な扱いをすることを禁止するものです。したがって、企業にとって、有期雇用労働者を「安上りな労働力」として雇用することは、ますます難しくなってきていると言えるのです。

以上の事情は、外国人労働者についても当てはまります。また外国人労働者をパートやアルバイトとして雇用するか、常勤の契約社員として雇用するかという問題では、出入国管理及び難民認定法(略して入管法)により、アルバイトという「資格外活動」ができるのは、留学生などの一部の在留資格に限られていて、しかも原則として週に28時間の労働が限度となっています。別の項目で述べますが、特定技能の在留資格を持っている外国人を、パートやアルバイトとして雇用することは法律で禁じられているのです。

日本語ができる外国人を雇いたい

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企業経営者の方々にとって、外国人を雇用する時に最も困惑する部分が、日本語であることは間違いありません。「日本人と同じ程度」は望めないのは分かっているけど、日本語が理解できないために仕事の覚えが悪く、ミスや事故につながるとしたら大問題ですし、それにもかかわらず、「人材紹介料や在留資格の申請や引越しなどに、日本人以上にお金がかかるのでは、全く割に合わない!」と、経営者のみなさんの嘆き、ぼやきが聞こえてきます。

発想を転換してみてはいかがでしょうか。外国人=安い労働力という式はもう成り立たないことは既に述べました。日本人は応募して来ないし、来てもすぐやめてしまうのであれば、日本語が十分でないとしても、せっかく来てくれた外国人を、日本語も含めて大事に育てていくという発想が必要です。育成すれば平均的な日本人よりも真面目に長く勤めてくれるはずです。そのうえで、外国人との日本語のコミュニケーションに関して、経営者の皆さんに理解していただきたい、いくつかの大切なポイントがあります。

  • 日本語能力試験の合格証は、全くあてになりません。なぜならば、そこには会話のテストがありませんし、海外の送出し機関は、試験に合格するための日本語を教えているので、実用にはむいていないからです。
  • ですので、彼らをだいたい4,5歳の幼児だと思って、「かんたんなこどば」で、「ゆっくり」、「主語や目的語をはっきり」語りかけるようにしましょう。
  • そして、彼らの「はい」「分かりました」をうのみにしないようにしましょう。少しでもわからないことがあれば、上司や先輩に尋ねることを習慣づけ、日本人従業員との間の関係をいつも良好に保てるよう、経営者が環境を整えるべきです。

3は特に大切です。外国語は会話をすればするほど早く上達します。逆に、会話が少なく、昼食の時など一人であるいは外国人だけで固まって食べるような職場環境だと、日本語が上達しないばかりか、お互いに不信感が積もっていって、いつかかならず爆発します。経営者の方々は、決して担当者任せにしないで、自ら職場環境の風通しを良くするよう、率先して外国人従業員と話をし、一緒に行動するようにこころがけてください。